裁判、運動などの記録

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平成13年(ワ)第990号 損害賠償請求事件
被 告  財団法人生長の家社会事業団ほか1名

答  弁  書

平成13年5月22日
東京地方裁判所八王子支部民事第3部1B係御中

    (原告の表示 略)
    (原告代理人の表示 略)
被告 財団法人生長の家神の国社会事業団
    
上記代表理事 松下昭
被告 M(簡略化)
    (被告代理人の表示 略)
第1 請求の趣旨に対する答弁
原告の被告Mに対する請求を棄却する
訴訟費用は原告の負担とする
 との裁判を求める。

第2 請求の理由に対する答弁
 1 請求原因1はおおむね認める。
ただし、被告Mが児童擁護施設生長の家神の国寮に勤務したのは昭和59年11月からである。

 2 同2(1)は否認する。
 同2(2)のうち、原告が金品を盗み、共犯者として他の寮生の名を挙げたが、結局それがでたらめであることが判明し、名を挙げられた者の一人が原告に暴行を加えたことは認めるが、その余は否認する。詳細は後述の通り。
(3)はおおむね認める。ただし、翌日、原告を病院に連れて行ったのは被告Mではなく、原告の担当であったO氏だと思われる。
(4)のうち、平成8年6月に原告が日赤医療センター医師に身体障害者認定のための診断書を書いて貰い、後に3級の身体傷害者手帳の交付を受けたことは認める。被告Mによる暴行により受傷したとの部分は否認し、後遺障害の程度については不知。後遺障害のために就職ができないとの主張は争う。

3 原告に生じた損害

(1) (ア)のうち原告の症状固定時が平成8年6月19日であるとの主張は争う。その余は不知。
(2) (ア)のうち被告Mをはじめとする神の国寮の職員による暴行を受けたとの事実は否認する。その余はおおむね認める。
(2) (イ)は争う。
(2) (ウ)のうち原告が被告Mら職員による暴行を受けて骨折等をしたとの事実は否認し、その余は不知ないしは争う。
(3) (3)ないし(5)は争う。

4 被告らの責任

同4はすべて争う。


  同5は争う。

第3 被告Mの主張
1 加害行為の不存在

 原告の主張する昭和62年7月8日の事実の概要は以下の通りである。
 昭和62年7月8日、原告が万引きをし、買物客から注意を受けているところを被告Mが発見し、店に謝罪した上、原告を施設に連れ帰った。

 施設の職員室において、職員が事情聴取を行ったところ、原告は、万引き以外にも以前に職員の財布から約1万6000円を盗んだことを告白し、同じ寮生のN(以下「N」という)、M及びYの4人で行った旨供述した。

 そこで、M及びYから事情を聞いたところ、両名ともそのようなことは一切やってはいないと訴えた為、原告を問いただしたところ、今度はNから命令されて、同人と二人だけで盗みを行い、取った金は全部Nに渡したと供述した。しかし、答えが曖昧なため、更に問いただしたところ、今度は取った金のうち5000円だけは自分が貰ったと供述を次々と変えていった。

 そこで、Nから同じように事情聴取を行ったところ、同人は泣いて「そんなことはやっていない」と訴えた為、もう一度原告を問いただしたところ、同人は自分一人でやったことを認めるに至った。

 このあと、それまで別室で事情を聞いていた原告とNを会わせ、供述の確認等を行ったが、職員がちょっと目を離した隙に、原告の虚偽の供述のためぬれぎぬを着せられそうになったNが、憤怒のあまり原告を蹴り飛ばしてしまった。

 そのため、翌日、原告が、腕の痛みを訴えたため、職員が寮の近くの金成病院に連れて行き治療を受けさせた。
 以上のように、原告が左腕骨折の傷害を負ったのは原告を蹴ったことによるものであり、被告Mは加害行為はしていない。

2 加害行為と後遺障害の因果関係について

 金成病院では、折れた手をギプスで固定する治療を施した。しかし、ギプスがとれた後も原告の手が動かなかった。金成病院では、長い間ギプスをしていたため、手首、指などの筋肉が硬くなったためと説明を受け、リハピリをするように言われた。

 しかし、金成病院の治療及び説明に不信感を持ち、昭和62年8月7日に原告を府中病院に連れて行って診察を受けさせた。府中病院ではリハビリを行ったが、結局、フォルクマン拘縮と診断され、医師からはギプスの締め付け過ぎが原因であると言われた。
 フォルクマン拘縮とは、前腕の血行不全による屈筋群の壊死や麻痺のために発生した手の特有の拘縮をいい、上腕骨顆上骨折、前腕部外傷などによる主要動脈の損傷、圧迫、攣縮のため動脈性血行障害を生じ、さらに静脈系のうっ血も加わり、前腕の主に屈筋群の壊死を生じるもので、圧迫包帯や、ギプス包帯の締め付け過ぎが血行障害を助長し発症するとされており、原告がフォルクマン拘縮となったのは金成病院でのギプスの締め付け過ぎの医療ミスによるものである。
 従って、加害行為(Nによるものであるが)と後遺傷害との間の相当因果関係も認めることはできない。

3 症状固定日、後遺障害の程度・影響等

 原告は、原告が、平成8年6月に身体障害者認定のための診断書を作成してもらったことをもって、原告の症状固定時が平成8年6月19日であるとしている。しかし、原告の症状固定はこれより相当以前と思われる。

 すなわち、このとき原告が、身体傷害者手帳の交付申請をしたのは、来春の就職にあたり、身体障害者認定を受けていれば少しでも有利になると、判断して施設の方から申請させたものである。そのために平成8年6月19日に日赤医療センターで身体障害者診断書・意見書を書いてもらったのである。このとき、担当の医師からは、3級に該当するが、職業の選択や、日常生活には何ら問題がないと言われている。

 これが効を奏したかどうか必ずしも明らかではないが、原告は大日本印刷という大手企業に就職することが出来た。原告は、平成9年3月一杯で本施設を退寮し、埼玉県蕨市の大日本印刷の寮に入った。しかし、折角入社した大日本印刷を給料が安いという理由ですぐにやめてしまった。その後、新聞の拡張員をしているという噂はあったが、居場所もつかめないままでいたところ、平成10年ころ、突然、新聞を取って欲しいと寮を尋ねてきたので、職員ら何人かが協力して原告から新聞を取ったことがあった。

 しかし、それから再び消息がわからなくなったが、しばらくして、トラブルでお金が入り用ということで寮を訪れ被告Mをはじめとする原告を知る職員で13万円を用立ててやったり、立川のハローワークに連れて行き、その利用方法を数えたこともあった。

 従って、施設は、原告を障害者として社会に放り出し放置したものでもないし、原告は、後遺障害があるということだけで就職できないというものでもない。

4 消滅時効

 以上のように被告Mは原告に対して損害賠償責任を負う理由が全くないことは明らかであるが、さらに本件加害行為は昭和62年7月8日であり、すでに14年近くが経過している。また、後遺障害についても、原告が固定日だと主張する平成8年6月19日からでも既に5年近くが経過しており、被告は本答弁書において消滅時効(民法724条)を援用する。

 よって、いずれにしても原告の被告Mに対する損害賠償請求権は、時効により消滅しており、本請求は即刻棄却されるべきである。

添付書類
1 訴訟委任状  1通


以上

*文字化けの可能性のある文字については、適宜読み替えました(管理人)

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