STOP!児童養護施設内虐待


「施設内虐待を許さない会」の発足に当って

代表 浦島佐登志

 本日2001年4月10日に、皆さんご存知のように児童養護施設「生長の家・神の国寮」を被告とする損害賠償請求裁判が東京地裁八王子支部に提訴されました。私達は、親・家族という社会的生活の基盤を(本人の意志とは関わり無く)何らかの理由により失わざるを得ない状態に陥ったこども達が、日本国憲法と法の基に定められた、公的保障の場として存在するはずの児童養護施設において、こども達の国民としての最低生活を侵害する虐待や体罰を行っている、施設及び従業員を許すことが出来ません。

 こうした行為は、触法行為であると同時に、家庭生活を維持できなくなった理由の如何に関わらず、その事実の重さ故に「心に大きな傷を負ったこども達に、更なる大きな傷を負わせることに他なりません。」こうした困難な状況での生育過程を経験したこども達は、ただでさえ社会での自立生活を維持していくことが困難であるにも関わらず、施設内での謂れのない虐待、体罰を受けることにより、そうした困難さが増加することは、この間の虐待を巡る調査・報道等からも、明らかなことです。

 私は「恩寵園のこども達を支える会」の代表として、1996年からの4年間を、苛酷な施設内虐待と残酷なまでの報復的な処遇に人生を翻弄されたこども達を支えてきました。またこの一年間は刑事被告人、大浜晶と浩の刑事裁判の傍聴を続け、現在では千葉地裁で係争中の恩寵園卒園者達による国家賠償請求と損害賠償請求裁判を支援しています。

 恩寵園を巡る複数の公判を見聞してきた思いは、虐待・体罰を繰り返してきた当事者の反省のなさでした。世の中には、これほど見苦しい大人もいるのだと考えると、とても辛く・悲しい気持ちになることを禁じ得ませんでした。一方その後も、施設内での虐待が明らかになった施設は首都圏だけでも、この1年間で「香取学園」「神の国寮」「今井城学園」と社会的耳目を集めたものだけでも複数に昇ります。香取学園に至っては、併設されていた児童養護、障害者両施設での虐待が明らかになる始末です。 

   私は恩寵園の問題が、全国の社会福祉施設に対して頂門の一針になることを期待していました。社会は施設内虐待を認めないと言うメッセージを施設の経営者、従業員の皆さんに感じて欲しかったのです。勿論良心的な方が数多く、真剣に業務に従事されていることは理解していますが、残念ながらそうした方達ばかりではないことが明らかになっています。

 私達は、私達が主催しているホームページ等で、こうした施設が散在していることを、多くの施設経験者と施設従業員の声から学びました。また、良心的な経営者の方々からも、そうしたお話をお聞きしました。そうした話を聞いていく過程で、恩寵園だけではなく、こうした諸施設の問題をしっかりと受けとめて行く必要性があることを感じるようになりました。

 今回、卒園生等が「生長の家、神の国寮」を提訴するに当り、私や施設の事を考える多くの人が、何が出来るのか相談をし、考えました。私達の結論としては、卒園生等を支援する事は勿論、私達のホームページに関わってくる多くの人達の思いに答えるために、施設内虐待を告発し、支援していく運動を組織する事が必要だと感じるようになりました。

    私達の会の活動は、当面以下の三点を重点として活動をする予定です。

  1. 「恩寵園公判」「生長の家・神の国寮公判」そして、今後提訴されるであろう「香取学園・瑞穂寮公判」を含めて、施設内虐待を告発し、それに関わ った人達と裁判を含めたあらゆる方法で闘うこと。
  2. 卒園生等の本は、既に出版されていますが、抄録の紹介などをしていきます。
  3. 卒園生等、原告を支える活動をします。
 私達は、当面首都圏での活動を中心に活動をすることになりますが、基本的には全国的な活動を視野に入れています。今後、全国各地の弁護士会やこどもの人権擁護団体と連携を取りながら、こどもの人権が最も侵害されて来たにも関わらず陽が当ることが少なかった施設分野での、運動を進めていきます。

 こどもの権利条約が批准されて以降、こどもの人権を擁護する活動は、その力を増しつつあります。しかしながら、施設内の問題については、閉鎖空間であり、問題点が外部に明らかにされないため、なかなか問題として焦点化されないで来ました。その結果として、公費で運営されながら、法の期待する児童擁護が行えない施設が、数多く存在する事も明らかになってきました。

 私達は、こうした『触法施設』が、社会的に淘汰されることを望んでいます。閉鎖空間であるが故に、「闇から闇」に葬り去られて来た虐待の事実を、社会の判断に委ねるために闘いを開始します。日本全国の施設在園者と卒園生と関係者の皆さん、共に頑張りましょう。